先ずこれは、著者[淡海いさな]の完全オリジナルではありません。
確かに設定の幾ばくかは著者の脳から出でて、文章その物も筆に成ったものです。ですが全体で見れば、これはシルバリズムさん発起により、著者もその世界観とキャラの設定の段階から幾らか噛ませていただいた(所為で)シェアード・ワールド(になってしまった)『PURE MELODY[ピュア・メロディ]』。
その世界観に基づく一群の小説企画の流れに乗って、執筆された物の一つです。
ただしこちらは、先行するシルバリズムさんや、ギャラクシアショウさん、朴念人さんのそれとは少し違っています。
さて、小説に限らず何かを物語ろうとすると、どうしても取りこぼしや敢えて切り捨てねばならない部分が出てきます。
それは風習であり食べ物であり、時に流行小説であったりするでしょう。
そしてそれは確かに主人公とは関係が無かったりします。優れた戦士が何を食べていようが割合どうでも良いことですし、貴婦人が愛読してる小説のタイトルが何だって読者には関係ありません。
そんな細々とした瑣末な事をぐちぐちと書いているくらいなら、とっとと物語を進めろとなりましょう。
まったくその通りです。
ですが敢えてこの『拾遺集』では、その名の通りに物語本編からこぼれ落ちた事件を拾い上げて行こうと考えます。
主人公たちの周囲の脇役や事件・歴史・風習といった世界観に焦点を当てた、世界設定に状況の、「説明」こそがある意味で主役な、本編を補足する短編……いえ、掌編ですね、掌編集として進めていきます。
執筆の趣旨が、「世界観に厚みを持たせる。用語・状況の説明」である為、自然と物語性よりも説明書的な側面が強くなりますが、それでもこれら自体も独立した物語として可能な限り楽しめるように創っていく心積もりではあります。
そして当面は、私が設定を担当しました、『瑛紗連邦』に於ける物語、本編の裏側で起こっている出来事を中心に展開していきたいと考えます。
と言いますか、例によって悪い癖で裏設定が膨大になり過ぎた連邦関係の設定をどうにか日の目を見させるために、何か解かり易い形であらわそうと考えたのですね、「用語集では味気ない」以前に設定だけ晒されても大方の方は楽しくないでしょう、そこで小説の中で登場人物に語らせようと思い立ったわけですね。
ですがまた、あくまでも物語の本筋は銀音さんの本編(『平和を願う天使の歌声』)であり、次いで、ギャラさん(『心無き機械仕掛けの天使の物語』)、朴さん(『小さなお城の大きな王様の物語』)の副主人公たちの物語です。
拾遺集に於いて、それらと矛盾する設定、展開が(無いようには出来る限り努めますが)あったとして、その場合は本編での描写が優先されるものとします。
なお、掌編集であるからには、原則として一話完結を目指します。
では、どうぞ『ピュア・メロディ』お楽しみください。