その女はさもつまらなそうに吐き捨てた
「三つ巴の陣取り遊戯。くだらん子供のお遊びだ
そして、言葉を続けた
「それもカビの生えた伝統の中でも、一等馬鹿馬鹿しい部類のだ
それに対して男が応えた
「決闘。そう、決闘とでも呼べば、まだしも格好がつくかと。殿下
「
貴人に対する完璧な作法を以って発される男の言葉。しかしそれさえも、取り付く島もなく斬って捨てられる
「――それにどう取り繕おうとこれより我らが行うことに、その意義に何らの変わりもないのだ
「おお、これは手厳しい。しかし、そうなると
けんもほろろの女の態度にも、特にめげた様子も無く、牽制の意志を言葉に混ぜる
「
面白くも無い冗談を聞いた、と女は整った
「お気に召さぬようですが?
「召すも召さぬも、是も無ければ非とてまた無い。王者に敗北の二文字は不要。要は勝てばよい、ただそれだけの話だ
「いかさま
軽く頷くと、芝居がかった調子で
「最も大きく勝利した者が、また最も大きな果実を得る。極めて単純明快にして、なんと公明正大なシステムでしょうか!
「公明正大
「さて、それはお互い様であるかと
「ふん。力無きものたちを制し、締め出した上での限定的な公正だ。言い訳などする気はない
男と女、対立する両者も、より大きく、一歩ひいて眺めれば、等しい正義、道理の内で、計画的な
「そうだ、
女は、言葉どおりに誇りを籠めて、昂然と胸を張る
「美辞麗句に逃げ込むな、とそう仰せで?
「そうだ
「剛毅なお方だ
苦笑まじりに称賛してくる男の態度を、憮然として非難する
「はは。それでは、
男は、それまでの作り笑いに代わって、本物の笑みを浮かべると膝を付き、貴婦人に対する仕草も優雅に、許しを乞うた
「あー、好きにしろ。気取り屋
どこか閉口した様子で、それでも女は手の甲を男に許したのだった